2024/05/02 願いはそれくらい...

ディズニー+に追加されていた「ウィッシュ」見た。劇中歌がどれもよかったな。でっかいmvみたいで。恐らく世界でいちばん予算と人手がかかってるmvだろうからな。でっかいなあ。感じ入るものがあるなあ。富士山みたいだったな

 

んで、内容は....、ちょっと、怖かったです。恐らくみんな思っていると思うが、急転直下というか。え、そこで、そんなにアクセル踏みますか、怒りの方に。という感じがずっとあった。いったん何が正義か悪かみたいなことは置いておいて、とりあえず主人公の中で、ほわんと、疑念の萌芽みたいなのが生まれるじゃないですか、それが次の瞬間、こんな大うねりになりますかというか。今までのギブとか、とりあえずの現状の安泰とか、もろもろいっさい俎上に載せずに初動の不安定なエネルギーだけで民を先導しきるパワーに、あ、そうしていいんだ、みたいな。とにかく圧倒される。

ただ、こういう主人公のムーブ、個人的にはけっこう好みなんだよな。

視聴者は、ディズニーヴィランズの一挙手一投足すべてを観測するわけですが、彼のやることなすことを全部こうしてスクリーンを通して客観的に見られるのであれば、「悪とは別の正義である」ということがよくわかる。どうしたって彼がそこまで悪いとは思えなくなってくる。だんだんと主人公の自分勝手に嫌気がさしてくるし、ぜったい、もっといい収め方があるだろと思えてくる。ただ、ぶつかり合いってそういうことじゃないもんね

結局は、自分が見てる世界で世界をジャッジするしかないわけで。いくら「世の中にはグレーなこともある」とオンボロな処世術の鎧を着こもうと、相手が正面から切ってくれるわけではないのだ。「王にも王の苦労があるし、民のことを思っての行動だし」とか、知らんよな。いや知ってるとは思うが。とにかく主人公は主人公の目線からでしか世界を観測できず、その結果出力されるあらゆる行動はあまりにも荒く滑稽に映るが、そうだよな、不確定なことばかりだろうか視座が低かろうが幼かろうがなんだろうが、自分がそう思ったらそうなので、走らなければならない。グラグラな理屈でも走り切ってぜんぶ滅茶苦茶にして、はじめてそこで進退を考えればよくて。最初から全方向におもねる態度でいたら、登場人物が全員大人だったら、物語ってはじまらないんだよな。ということを思い出しました。

少ない材料で相手を完膚なきまでに断罪しきるということ、今それができるのは誉れ高いことだ。なんもかんも穏便にすまそうとするならば、白黒つけない態度こそが至高だと思っているならばそうはいかない。材料が足らなくてもときには飛ばなければいけないときはあり、白か黒は最終、誰でもない自分の手で選ばなければいけない。灰色の海を永遠にたゆたい続けることはできない。いま!自分で!選べよ!いうメッセージを感じた。自分で選べ!そして責任を取れ!という鼓舞。その鬨の声があまりに今の世相と逆行しているので一瞬ギョッとしてしまうが、そういうホラー映画だと思えばわかりにいける。ただ100年記念でこれをやるかねとは思いましたけど。