2023/10/04 アイコンをティッシュから変える日

そういえば、もう何か月もティッシュを食べていない!

 

 

_

 

 

 

中学生ぐらいの時からティッシュを大量に食べる悪癖があった。

 

食べるといっても、数時間口の中に入れて咀嚼したのち、ドロドロに溶けたものを排水溝に吐き出す。といったもので....。(食べたほうがマシだ)


とにかくこの癖がやめられなかった。親からもいい加減汚いからやめろと言われ続け、自分でもなぜこんなことを....と思いながら、もごもごと口内でティッシュを湿らせているめちゃくちゃなやつ。

 

本当に、これだけは信じてほしいのですが、食べたくて食べているわけではない。本当に。

 

美味しくて食べているのでは?とか、奇人ぶりたいのでは?等、当然のご意見だ。当然のご意見だとは思うがこればかりは断言しておく、まったく食べたくない。

 

気が付くと口に含んでいるのだ。やめようにも気が付いたときには口の中にある。

ティッシュがドロドロに溶けて口の中に留めておくことができなくなり、だんだんと苦しくなってきた段階で、「あ、今ティッシュ食べてる。吐き出さなきゃ」と思うのだ。美味しいと思う瞬間がない、咀嚼し終わって初めて食べていることに気づくのだから。

 

また、後者の「奇人ぶりたいから奇行に走っているのでは」という指摘はお門違いもいいところで、この摂食欲求は一人でいるときにしか発生しない。学校や、人前でティッシュを食べたい気持ちになったことがない。衒いを見せる相手が居ないのにどうやって奇人を演じればいいのか。いつだって家に一人、リラックスしてるタイミングでその欲求はやってくる。(というかティッシュならまだしも、お気に入りのタオルの端っこを永遠にカミカミしてしまう癖がある。みたいなものは割とあるあるな欲求である気がする)

 

美味しくないし、口の中は乾燥するし怪我するし、きたねーし、一刻も早くやめたかった。だが結局この悪癖は10年以上続くことになる。

 

きっと、ティッシュに染み込んでいる香料のいずれかに尋常ならざる量の中毒成分が含まれているのだと心の底から思っていた。今でもそう思う。本当に強い意志を持っていても食べ始めるのを止めることができない。干渉するのはいつも後手になってしまう。食べている!という状態に後から気づくことしかできない。


例えばご飯を食べた後、ティッシュで口の周りの汚れを拭う。そしてそのままそのティッシュを口に入れてしまう。歯を磨く時になって、ようやくティッシュを食べていたことに気づく。そういう感じだ。

 

この感覚ばかりは当事者でないとわからないと思うのだが、どこかにあるか?断酒会のような、ティッシュを食べるのがやめられない人々のための相互援助団体。あったとして今参加するとフラッシュバックしそうなのでやめておくが。

 

とにかく当時からティッシュを食べてしまう自分が嫌だった、嫌だったが、中学生の時分にできることなど限られているので、とりあえず自室にティッシュを置くのをやめた。


だがリビングにはティッシュがある。リビングで晩御飯を食べた後、自室に引っ込む前に4,5枚ティッシュを頂戴し、ちびちび咀嚼する毎日が続く。親がいないときはリビングから箱ごとくすねてバクバク食べていた。これでは一生やめられないのでリビングにもティッシュを置かないでくれと親に頼み、リビングからもティッシュは撤去された。

その後は弟の部屋に忍び込みティッシュをくすねたり、ポケットティッシュを貪り食い繋いだり、クローゼットの中に隠されているティッシュをコソコソ食べたりしていた。つまるところやめられなかった。ちょうどこのころ、各種SNSのアイコンをティッシュにした記憶がある。好物がティッシュであるという自虐だ。

 


一人暮らしを始めて最初にしたことは家にティッシュを置かないことだった。
こうすれば食べる心配もない。花粉症にやられて鼻水が止まらないときも、ハンドタオルで拭えばなんとかなるので耐えられていた。これなら大丈夫だ、やめられる....

 

気がつくとトイレットペーパーを食べていた。

アルコール依存症の患者が料理酒や味醂にまで手をつけるように、もはや何でもいいのだ。とにかくフワフワでペラペラの織物を口の中で湿らせていくという行為に病み憑きになっていて、トイレットペーパーはティッシュ以上に柔らかく、代替品としてはうってつけだった。そしてトイレットペーパーを家からなくすのは不可能だ。

 

もうこの頃にはどうでもよくなっており、別にトイレットペーパーなら食べてもいいじゃねえかという屈折した理屈で暴食していた記憶がある、トイレットペーパーはティッシュより随分と柔らかく水にも溶けやすい、口も幾分傷つかないし、何よりティッシュより安かった。それが暴食に拍車をかけた。こんなにもトイレットペーパーを食べてるならもういいじゃねえかと、ティッシュも今まで通り買い始めた。結局全部が元通りだ。

 

そして今に至る。つまり、つい数か月前まではまだ食べていた。


だけどここ数か月、ずっと食べていないことにはたと気が付いた。食べてなさすぎて我慢しているという感覚もなかった。それを今日、急に思い出した。洗濯物を取り込んでいるときに顔が濡れて、それをティッシュで拭った。そして食べなかった。その瞬間気づいた。食べてない!もうずっと食べてない!

 

寛解と言って良いと思う。今は食べようと思わない。我慢もしていない。あー、治った!!あまりにも突然に、かつ静かに治ったから、治ったことにすら気がつかなかった。というかもともと余計な異常行為をしていたのだから、その分がすっぽり生活から消え去ってもまったく気がつかないんだなという驚きがあった。

 

治った理由はよくわからない。恐らく、仕事の量を減らし、ストレスを減らした結果だと思う。自律神経がある程度整ってきたおかげであることには間違いない。とにかく、仕事や学業でいっぱいいっぱいになって、ウワアアアアッとなるといっぱい食べてしまうということは分かっていた。ならばウワアアアッとする時間を極力減らせればよいという、それだけの話だったんだけど....ここまで来るのに長いこと時間がかかってしまった。

 

つまりもうアイコンがティッシュである理由は完全にない!もうティッシュは好物ではないからだ!いつでも他のアイコンに変えられるぞ!

 

ボディが水色、背びれが白色のステゴザウルスにしようかなあ。