2024/03/29 負欲

根治あるある ない

 

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歯医者というのは一度集中治療が終わっても卒業はできず、白亜色の待合室には死ぬまで通い続けろという絶望の空気が蔓延している。1週間に1回ペースで通っていたものが半年に1回ペースまで引き延ばされるだけ。健康診断でさえ1年に1回なのに、それ以上の頻度での往来を強要される。絶対にこのレールから降りることは許さないという静かな連帯。おれはあらゆるレールから脱線という形で事故を起こしながら降りて来たのでここも降りたいところだ。

ただ、齢九十ぐらいのおじいさんやおばあさんが歯医者さんにいるのって見たことないな。もしかしたら、どこかで降りれるのかもしれない。

気付いた、歯が無くなるんだ。治療するものが無くなれば、降りれる。気づいちゃった。もう折ってやろうか。折って、降りてやろうか。

歯医者で一番言ってみたい台詞 ティア1は「もう、こないからねー」以外ありえない

 

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仕事周りでいろいろとトラブルが散発し、朝元気いっぱいだったものが今はゲッソリしている。恐ろしいのが、このトラブルが解決したのかどうかが分からないまま週末に突入してしまったということで、土日は大体の先方の対応がストップする関係上このトラブルの行く末を全く把握できないままマスを進める必要があり、大変に精神に負担がかかる。自分の場合ストレスが非常にかかっている状態だと如実に起こる変化があって、おなかがまったく空かなくなり、部屋の匂いが変わるのだ。ある地点を超えると、自分の部屋の匂いが変わる。それは、追い込まれによる不衛生によって部屋自体が酸い匂いを発し出すとかそういうレベルの話ではなく、こちらの匂いの受容体の方が変化するイメージだ。(恐らく、外部から観察する分には匂いは変わっていない。)

なぜか、自室から他人の部屋の匂いがし出すのだ。新築の家に初めて入ったときの様な、全く訪れたことのない部屋に内見に入ったときの様な、居心地の悪い、空っぽの匂いがし出すのだ。こうなってきたらそのそろヤバいことが分かるので、一旦、引かなければならない。引く、というのは文字通り人生のカメラを引くことだ。今はトラブルにスポットライトが当たりすぎている。この世の終わりかのようにクローズアップされ、悲劇が演出されているが、一旦ここは引いた方がいい。100m程。

おれにもうできることはない。一旦仕事のステージから退散する。ストレスには別のタイプのストレスをぶつけると良いことが経験上分かっているので、今更ながら朝井リョウの「正欲」を読んだ。余計に元気がなくなった。今ではなかったなという後悔が凄い。不安の渦中に居るのに余計不安をあおるような情報が体に入ってきてしまった。一旦、寝よう。